(FAMILY COMPUTER RGB mod)
工作難易度:普通, 部品入手難易度:至難
ファミリーコンピュータ(以下 ファミコン)に搭載されている "PPU" RP2C02 からはコンポジットビデオ信号のみが出力されている。ファミコンをRGB出力するには、 このPPU自体をRGB出力の物に交換する必要がある。
RGB出力のPPUからのRGB信号は0.7Vp-pで、75Ω終端の回路を直接駆動することは できず、バッファアンプが必要である。
改造する場合には、赤白ファミコン(HVC-001)ではなく、AV仕様ファミコン(HVC-101) (通称Newファミコン)を改造するのがお勧め。電源周りが安定していて画質が良いし、 スーパーファミコンと同様のAVマルチアウト端子に配線してRGB信号を外部に出力できる。
ファミコンのRGB出力に使えるPPUは、RP2C03B, RP2C03C, RC2C03B, RC2C05-99である。
RP2C03およびRC2C03は、任天堂のVS基板の一部のタイトルで使用されている。 また、シャープのファミコンテレビC1でも使用されている。
RC2C05-99は、編集ファミコン(通称ファミコンタイトラー)で使用されている。
もっとも入手しやすいのは、RP2C03またはRC2C03を用いたタイトルの 任天堂VS基板あるいはそのROMキットだろう。元々ソケットに実装されているので、 苦労して取り外す必要が無いのがありがたい。
編集ファミコンは、2010年現在では稀少である。ネットオークションでの出品は かつてに比べるとめっきり減って、落札価格もずいぶん高騰気味だ。
かつては、RP2C03やRC2C05-99をファミコンテレビC1や編集ファミコンの補修部品としてシャープから取り寄せることができた、らしい。Yahoo!オークションで、 そのような出自の未使用品が出品されたこともあった。
RP2C04と-99以外のRC2C05は使用不可
VS基板の一部タイトルで用いられているRP2C04は、ファミコンでは使用不可。 ファミコンとパレットが異なるため、ファミコンに取り付けてファミコンのカセットを 動作させると、正常な色で表示されない。
VS基板用のRP2C05は、ファミコンでは使用不可。VS基板のROMコピー対策の プロテクトのため、RP2C02と載せ替えただけでは正常動作しない。
RGB出力PPUの14,15,16番ピンからのRGB信号は、0.1〜0.8Vの0.7Vp-p。
外部の機器に接続するにはバッファアンプが必要。
THS7314を使うのがお勧め。
補足
THS7314はRSオンラインやDigi-Key等で購入できる。2010年11月現在、 RSオンラインでは購入単位5個で単価133円。
75Ω抵抗は、±1%精度の金属皮膜抵抗を用いる。±5%精度の物を用いるならば、 近い値の物を3つ選別すること。
PPUからの出力は0.1〜0.8Vなので、THS7314にはDC結合で接続する。
THS7314は利得2倍固定なので、フィードバック抵抗などは不要。 出力側に整合用の75Ω抵抗が必要。DCカット用のコンデンサはSHVC-010内。
出力側のDCオフセットはわずかなので、DC結合でモニタに繋ぐことも可能。 ただし、SHVC-010のコンデンサを抜くと、それはSFCで使えなくなる。
AV仕様ファミコンの外装のねじ(4本)を回すには特殊ドライバーが必要である。 ENGINEERの DTC-27で回すことができる。
分解にDTC-27が必要なゲーム機は、スーパーファミコン、AV仕様ファミコン、Nintendo64、PC Engine (白・コアグラ・コアグラII)、ゲームギア
元々載っているPPUはもう使わないので、ICの足を切り取ってしまい、 足を一本ずつ抜くのが楽で確実。それならば、基板を痛めることなく 比較的簡単に取り外すことができる。
RP2C03・RC2C03・RC2C05-99の14,15,16番ピンが、各々R,G,Bの出力である。 元々のPPUでは、それらのピンはGNDに接続されている。
取り外したPPUに換えてICソケットを取り付ける際に、ソケットを加工して 14,15,16番ピンを基板に接続せずに、信号を引き出す。
足を切り取った部分に当たる基板の方は、テープを貼って絶縁しておく。
バッファアンプのGNDは、PPUを取り付けるICソケットから引き出すのが良いだろう。
バッファアンプの電源(+5V)は、この作例では3端子レギュレータ(7805)のOUT直近から 引っ張った。
スーパーファミコンの場合、AVマルチアウトの 1, 2, 4 番が、 R, G, B
取り付け方向を間違えないように注意!!!
VS基板用のPPUには放熱板が接着されている。AV仕様ファミコン内に ICソケットを介して組み込む場合には、この放熱板がケースにわずかに干渉する。 放熱板を少し切り取ることで、この干渉から逃げることができる。
ハンドニブラで切り欠いた。
切り欠くのは片側だけでよいのだが、HOZANのK-88が干渉するため 反対側も切り欠いて、交互に彫った。
もちろん、放熱板を剥がしてしまう手もある。でも、せっかくついているのは 有効利用したい。PPUは結構熱くなるし。
モニタは、PVM-14M1J (それなりにへたった中古品)
細かいところまで色々書きましたが、おおざっぱなところも多く、 「わかる人」向けの記事になってしまいました。ある程度の知識経験がある人には この記事で伝わると思いますが、「初心者」にはきついかと思います。
あっぷるそーすさんの RP2C03C と RC2C03B の 画像を使わせていただきました。ありがとうございます。
当記事を参考にして行った工作などの結果について、 筆者:爆竹銃はいっさい責任を持ちません。 正しいことを書くように心がけていますが、 間違い・勘違い・うっかりミスなどが混入しているかもしれません。
当記事の内容に間違いなどがありましたら 掲示板にてお知らせいただけると幸いです。
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先達達の文献色々
2010/11/--:記事作成
@自分自身のためのものづくり by 爆竹銃